言語・逆説・思弁
Chr.ビュシ=グリュックスマン『見ることの狂気 ――
バロック美学と眼差しのアルケオロジー』(ありな書房)
合理的な視覚中心的な近代の知性がその裏面として孕んでいる狂気の眼差しについての、それ自体がバロック的な論考。幾何学的・アルベルティ的遠近法に代表される合理的な眼差しを覆すバロック的驚異をつぶさにマイム
(身振り)してみせるそのテクストは、近代=視覚=幾何学的遠近法といった安直な図式をいとも易々と付き抜けてしまう(フォスター『視覚論』
を参照)。谷川渥の訳文がまた見事にそれをトレースする。同じくありな書房のマイオリーノ『コルヌコピアの精神
――
芸術のバロック的統合』でもそうなのだが、ここでもその背景に控えているのは16世紀のジョルダーノ・ブルーノである。ブルーノはまだまだ未開拓の宝庫のようだ。
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